医用工学研究への取り組み

京都府立医科大学呼吸器外科で取り組んでいる医用工学に関する研究の紹介です。

１．医用工学

島田順一病院教授を中心に、ロボット手術支援のための『タッチパネルナビゲーションシステム』、形状と素材に着目した手術用の剥離器具『ロータリーダイセクター』をはじめとする、医用工学の研究を進めています。

■2012年、関西イノベーション国際戦略総合特区（京都）の指定を受けました。

『診断・治療機器・医療介護ロボットの開発促進：低侵襲のがん医療機器とBody-GPSを含む手術ナビシステムの開発』を進めるべく、当科の島田順一が発案した、『タッチパネルナビゲーションシステム』の研究を行っています。

タッチパネル画面上で処置したい箇所を直感的にタッチしてなぞるだけで、ロボットアームが手術器具の先端部を目標に向かって動かす（追随させる）ことができる内視鏡手術支援システムの実用化をめざしています（2014年 米国特許取得）。

タッチパネルナビゲーションシステムの説明ビデオはこちら↓

■2013年、2014年、『多孔質高分子樹脂を用いた低侵襲手術における剥離器具の改良・開発に関する研究』で、経済産業省課題解決型医療機器等開発事業に指定されました。

内視鏡手術で術野をつくる際に、剥離器具を用いて肺をよい位置に動かしそこから動かないように保持します。しかし、肺などの臓器は表面がつるっとしているため、器具をつかって保持していても、しばしば滑り落ちてしまう問題点がありました。

我々は、この剥離器具の先端の形状と素材に注目し工学的に検討を進め、すべりにくい組織保持棒『ロータリーダイセクター』を開発しました。先端は六角形形状でエッジが利きやすく、素材に多孔性樹脂を用いることで吸湿性を兼ね備えています。

すべらない組織保持棒 ロータリーダイセクターの説明ビデオ（ロータリーPV）はこちら↓

＊関連する業績

Shimada J, Nishikawa A (2014) Remote control system. U.S. Patent 8,734,431.

Okada S, Shimada J, Ito K, Kato D (2014) A touch panel surgical navigation system with automatic depth perception. Int J Comput Assist Radiol Surg. [Epub ahead of print]

Junichi Shimada, Kazuhiro Ito, Daishiro Kato, Kunihiko Terauchi, Masanori Shimomura, Hiroaki Tsunezuka, Kaori Ichise, Shunta Ishihara. Intuitive Touch Panel Control System with Tablet PC. 8th Asian Conference on Computer Aided Surgery. 26 - 31 May, 2012, Beijin, China.

J. Shimada, K. Ito, D. Kato, M. Shimomura, H. Tsunezuka, K. Terauchi, K. Ichise, S. Ishihara. Intuitive touch panel control system with tablet PC. Computer assisted Radiology and Surgery, 26th International Congress and Exhibition. 25 - 30 June, 2012, Pisa, Italy.

S. Okada, J. Shimada, K. Ito, H. Tsunezuka, K. Ichise. Availabitriby and quantitative elevation of thuch panel navigation system for endoscopic surgery. Computer assisted Radiology and Surgery, 26th International Congress and Exhibition. 25 - 30 June, 2012, Pisa, Italy.

Shimada J, Ito K, Kato D, Shimomura M, Tsunezuka H, Okada S, Ichise K.
Intuitive touch panel navigation system with Gigabit Ethernet.
CARS 2011, 25th International Congress and Exhibition, June 22 - 25, Berlin, Germany.

Shimada J, Terauchi K, Kato D, Ito K, Shimomura M, Tsunezuka H, Ichise H.
Intuitive touch panel navigation system for VATS.
14th World Conference on Lung Cancer. July 3 - 7, 2011, Amsterdam, Netherlands.

Shimada J, Ito K, Katoh D, Terauchi K, Shimomura M, Tsuneduka H, Okada S, Ichise K, Ishihara S. Intuitive touch panel navigation system through Kyoto Digital SOSUI Network.
7th Asian Conference on Computer-Aided Surgery (ACCA 2011), Aug 26 - 27, Bangkok, Thailand.

島田順一，加藤大志朗，伊藤和弘，寺内邦彦，下村雅律，常塚啓彰，一瀬かおり．
タッチパネルナビゲーションによる内視鏡手術支援システムの開発：遠隔操作にむけて．
第28回日本呼吸器外科学会総会
２０１１年５月１２日―１３日；　大分

島田順一，加藤大志朗，寺内邦彦，伊藤和弘，下村雅律，常塚啓彰，一瀬かおり．
タッチパネルナビゲーションによる内視鏡手術支援システムの開発：遠隔操作の手法の検討．
第64回日本胸部外科学会定期学術集会
２０１１年１０月１０日―１２日；　名古屋

島田順一, 加藤大志朗, 伊藤和弘, 常塚啓彰, 岡田悟，一瀬かおり，小島宏幸，市川裕則，清水三希夫．
タッチパネルナビゲーションによる胸腔鏡手術支援システムの動物実験での検証．
第63回日本胸部外科学会定期学術集会
２０１０年１０月２４日―２７日；　大阪

島田順一，伊藤和弘，加藤大志朗，寺内邦彦，下村雅律，常塚啓彰, 一瀬かおり，小島宏幸，市川裕則，清水三希夫．
マルチタッチスクリーンによる直感的な内視鏡手術支援システム．
第72回日本臨床外科学会総会
２０１０年１１月２１日―２３日；　横浜

島田順一，加藤大志朗，伊藤和弘，常塚啓彰，岡田悟，一瀬かおり，小島宏幸，市川裕則，清水三希夫．
タッチパネルナビゲーションによる内視鏡手術支援システムの開発．
第27回日本呼吸器外科学会総会
２０１０年５月１３日―１４日；　仙台

島田順一，加藤大志朗，寺内邦彦，下村雅律，常塚啓彰，一瀬かおり．
マルチタッチスクリーンによる直感的な内視鏡手術支援システムの開発．
第23回日本内視鏡外科学会総会　
２０１０年１０月１８日―２０日；　横浜

難波俊介(大阪大学 大学院基礎工学研究科機能創成専攻), 西川敦, 今岡健悟, 島田順一, 加藤大志朗, 寺内邦彦, 下村雅律, 常塚啓彰, 宮崎文夫.
ビジュアルサーボを用いたタッチ式内視鏡手術器具インターフェース.
生体医工学(1347-443X)46巻6号 Page595-605

島田順一, 伊藤和弘, 柳田正志, 寺内邦彦, 下村雅律, 常塚啓彰, 西川敦．
タッチパネルモニターを用いた内視鏡ロボット手術システムの開発．日本呼吸器外科学会雑誌,22(3), page425

島田順一, 西川敦, 今岡健吾, 加藤大志朗, 寺内邦彦, 下村雅律, 常塚啓彰．
タッチパネル入力を用いた直感的な内視鏡手術システムの開発．日本内視鏡外科学会雑誌13巻7号 Page190

難波俊介，西川敦，今岡健悟，島田順一，加藤大志朗，寺内邦彦，下村雅律，常塚啓彰，宮崎文夫．
画像を介した内視鏡手術器具インタフェース　凹凸面への適応．
日本コンピュータ外科学会誌(1344-9486)10巻3号 Page433-434

島田順一，西川敦，今岡健悟，宮崎文夫，伊藤和弘，柳田正志，寺内邦彦，下村雅律．タッチパネルモニターを用いた内視鏡ロボット手術システムの開発． 第16回日本コンピューター外科学会
2007.11.2(Fri)-4(Sat), 広島大学霞キャンパス